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第3回:決算書は健康診断_前編

起業塾リアルイースタートの担当をしている中小企業診断士の東によるコラムを連載していきます。起業や経営やビジネスに関することで、一般的な書物やサイトに掲載されていない、実務に即した話題について記載していく予定です。

※中小企業診断士とは、経済産業大臣が登録する、経営コンサルティングに関する唯一の国家資格です。
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決算書は健康診断 前編

今回は決算書の活用方法についての記事です。 決算書は「難しいと思うと難しい」「簡単と思えば簡単」なものです。 決算書を分析することで経営の意思決定が全て的確に行える・・・というのは幻想ですが、 有効に活用できる場面というものは確かに存在します。 今回は「どうやって決算書分析を経営に活かすか」です。

  

決算書分析は健康診断のようなもの

決算書は、いうなれば健康診断のようなものです。 例えばジムに入会してトレーニングメニューをトレーナーと相談する時、 本人のなりたい姿を実現するために、具体的にどうするかを相談します。 しかしもし健康診断で異常が見つかれば、そこは本人の意思や希望関係なく、治さないと命にかかわります。 同じように、普段コンサルタントは「経営者の想いを形にする」為に存在し、経営者のビジョンを具現化するためにお手伝いします。 その際に企業理念や事業計画や商品や社内体制など様々な情報を把握します。 当然数字で分析しますが、企業ごとに重要ポイントは変わるので、定型の基準で書かれた決算書はあまり役に立ちません。 よく○○率などの経営指標をたくさん並べて、小難しくそれっぽい説明をする財務コンサルを見かけますが、 A:それっぽい感じを出してコンサル料金を取るのが目的 B:自分が伝えたい結論に誘導するツール C:ただ数字をいじっているだけの机上のコンサル のどれかです。 パッと決算書を見て「特に問題が無い場合」はスルーです。

しかし、「問題があった場合」は、すぐに対処しないといけません。 経営者のビジョンや想いより先に、適正に対処しないと会社が死んでしまいます。 そこは専門家として強く指摘しないといけません。 定型ルールで書かれているだけに、知識さえあれば問題点が客観的にわかるのです。 そのため、健康診断のようだ、と言われるのです。 さて、実際の健康診断だと、普通に受けて問題がある場合に「再検査」の通知が来ますよね。 最初の健康診断は簡易なので、「問題があるかもしれない」判定をして、その後精密検査に移ります。 その再検査にあたるものが、「勘定科目明細」と呼ばれるものになります。 実務上は税務署提出書類一式と同じです。 実際の健康診断では、「引っ掛かった項目のみ」再検査しますが、 決算書分析の場合は、あらかじめ「分析のために決算書見せてください。 税務署に出す方の一式です」とあらかじめもらっておいた方が説明が早いので、先に貰うことが多いです。 大半の異常は直近1期でわかりますが、再検査用に直近3期の数字を見たい場合もあるので、あらかじめもらうことも多いです。 ちなみに決算締める前の月次の直近データが必要な場合は、割と末期なことが多いです。

健康診断の数値を全部A判定の中央値にもっていくことを目指してトレーニングする人はいなくて、 健康に問題ない場合は自分のなりたい姿をそれぞれ目指すことが多いと思いますが 病気の判定が出たら、医者の指示に従って素直に治す、治ったら医者の出番は終了でトレーニングに戻る。 そんな関係が、「決算書による緊急処置」の財務コンサルと、「経営者の想いを形にする」経営コンサルの関係、と認識してください。

  

PLは社内エクセル管理表で

決算書というとまず目に行くのがPL、損益計算書かと思います。 売上や利益など直感的にわかりやすい数字が載っていて、うまくいっているかが何となくわかりやすいですね。 但し決算書においてはあまり見ないです。 何故かというと「決算書ベースでは遅すぎる」からです。 年次の決算書は論外、月次でも決算処理で様々な数字を確定させ出てきた時には次月も半場を過ぎ、意思決定には遅すぎるのです。 売上や利益を見る場合は、社内の事務処理データをエクセルで加工し、 少なくとも翌日には結果がわかる日報ベースでの管理が基本となります。 ※各種専門ソフトの導入を勧める営業は世にたくさんいますが、結局はエクセルで仕組みを構築したほうが早いし自社カスタマイズも容易 会計ルール(ある程度決まっており、各社で勝手にいじれない)に従って、 1か月遅れで出すPLデータではなく、エクセル集計で売上や利益は把握します。

じゃあ決算書のPLは何に使うかというと、「答え合わせ」です。 上記のエクセルシステムは、一度作ってしまえば簡単に運用でき、状況変化への対応も簡単ですが、最初に造るまでは大変です。 このシステムの構築が中小企業診断士・コンサルの腕の見せ所なのですが、現場の方からヒアリングし、仮でシステムを作ってみます。 そうして出した売上や利益の数字は決算書と理論上一致するはずです。ですが最初はまず一致しません。 そこで再度ヒアリングを行いシステムの調整を行っていく、 その際の「正解数値」のモノサシとして「遅いけど正確」な決算書のPLが役に立ちます。 最終的にエクセル集計日報と決算書PLが一致したらお役御免、以後はエクセル集計で売上や利益を日次で把握するようになります。

もちろんシステムを構築するまでの概要把握や、 過去データとの比較、他社との比較などでは決算書を使ったりします。 また、起業特性にもよりますが、上記のエクセル管理は売上と原価までの場合が多いので、 販管費の管理分析はPL(月次)を使うことも多いです。

こちらの「エクセルによる日次管理集計のシステム設計」について、 個別にご相談ある方は、お問い合わせフォームにてご連絡ください。 長くなったのでいったん切ります。後編は次回。以下後編の目次。

  

後編目次

◆B/Sで会社の実態を知ろう
◆CFよりも実戦的な資金繰り表
◆攻めの経営改善は決算書ではわからない

第3回のコラム、いかがでしたでしょうか? 後編は後日更新いたします。 感想やご意見はこちらのフォーム若しくはtwitterまで。
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中小企業診断士 東秀樹(平成16年登録。)