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第2回:成功体験による人材育成

起業塾リアルイースタートの担当をしている中小企業診断士の東によるコラムを連載していきます。起業や経営やビジネスに関することで、一般的な書物やサイトに掲載されていない、実務に即した話題について記載していく予定です。

※中小企業診断士とは、経済産業大臣が登録する、経営コンサルティングに関する唯一の国家資格です。
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成功体験の人材育成

今回は部下の育成についての話です。「成功体験を積ませることで自信を持たせ、次のステージに引き上げる」という話はよく聞きます。 ですが、その「成功」とは何でしょうか?実はこれは人によって段階があるんですね。 4つのステップに分けて考え、部下個人ごとにどのステップまで経験しているかを見て、個人ごとの対応をしていきましょう。

  

努力・成果・評価・対価

仕事の世界で成功する人は、「努力・成果・評価・対価」の4つのステップをクリアして成功にたどり着きます。 まずは努力をしないと成功することはできません。運よく何か成果が一時的に出たとしても、実力がついているわけではないので、そのうちメッキが剥がれます。 努力した結果成果を上げると、それは周りに評価されます。成果が平凡なのになぜか評価される人も一定数いると思いますが、それは盗人のインチキ人生。部下にそうはなってほしくないですよね。 成果を周りから正しく評価されると、その結果対価を貰えるようになります。対価が無ければただのボランティア、正当な対価を得て初めて、「幸せな人生だった」と満足感を得ます。

ここで重要なのは、前のステップをクリアしないと先には進めないが、クリアしたとしても必ず次のステップへ進めるわけではない、ということです。 成果を出すには努力しなければ絶対に無理ですが、努力をしたからといって必ず全員が成果を出せるわけではない、ということです。ここで、「出来ていないステップをクリアさせる」ことが「成功体験を与える」ということになります。

  

経験できていないステップを、寄り添ってクリアさせてあげよう

まず、「努力をした経験がない人」というのは一定数存在します。育った環境によっては「そんなことはあり得ない」と思う人もいるかもしれませんが、「何かに真剣に取り組んだことが無い人」は実際に存在します。 そういう人には、半場強制的に、「決められたことをやりきらせる」という指導が必要です。そして、本人がやり切った成果物を一緒に見て確認し、「行動自体」を褒めてあげます。 これにより「自分でもやりきることが出来たんだ」という成功体験を得られ、努力する習慣が徐々に身に付いていくのです。

次に、「努力したけど成果が出なかった」という経験をしてきた人です。例えば学生時代、受験や部活などで一生懸命努力し、実力がアップした実感はあったものの、結果が伴わなかった人などです。 自信を喪失して消極的になっている場合も見うけられます。 この場合は「成果」を体験させてあげること、つまり価値癖をつけてあげることが大切です。上司が陰でフォローしつつ、始める前は難しそうに感じても何とか成功できそうな業務を渡し、成功させます。 そして「成果が出たこと、勝ったこと」という「結果」を強調して、褒めてあげます。これを繰り返し、勝ち癖をつけていきます。

成果は出しているけれども、評価されない人もいます。成果を出している自負はあるので、本人は評価されないことに不満です。 ここで「自分が出来ていると思っているだけで、本当は出来ていない」などと突っ込むのは野暮ですし、「評価は周りがするもの」という正論も響きません。 「本人の中では」成果をいくら出しても意味がない、と認識しているのです。このままでは「周囲が評価する成果を上げる」段階まで進むことはできません。 この段階では、まずは「本人が主張する成果」を認め、褒めて承認した上で、少しフォローをして「周囲に評価される成果」となるように修正し、「評価された体験」をさせることが大事なのです。 その上で、「周囲からの評価」のために足りないファクターを本人に理解させましょう。 ※本人が出来ていると思っているだけで、客観的に見て全く成果が出ていない場合はこの限りでない

最後に「評価」はされているけれども「対価を貰っていない」人達が存在します。能力や業務遂行能力は評価され、困った時には全部仕事を振られる、でも地位や報酬では報われない人たちです。 なにがしかのキャラ付けで「あいつにはこれで十分」的な扱いをされていたりします。成果が高すぎて現場から抜けない、などの場合もあります。この場合、一旦「正当な扱いを受けていない」と本人が認識した場合、いくら口で褒めて感謝を述べても、具体的な対価が伴わない限り離反を防ぐことは不可能になります。

  

個人ごとの対応がキー

裏を返すと、クリアしているステップの成功を繰り返させようとしても、部下には響かず、逆にストレスになります。 例えば「努力」する習慣は身に付いていて「成果」の体験が無い人、この場合「どれだけ努力しても結果が出ない」というストレスを感じています。この状態の人に、「努力」を強いても疲弊するだけです。 困った時はいつも頼られ感謝の言葉をかけられ、でも決して昇進も報酬も多くは貰えていない人には、具体的な対価なしに「さすが〇〇さん」と言っても、不信感が強まるだけなのはわかりますよね。 次の段階に進ませてあげないと、その人は壊れてしまいます。

壊れた結果どうなるか?そうなると以前出来ていたことも出来なくなるようになるのです。だんだん熱量が下がり成果も出なくなり、やがて努力すらしなくなります。 こうなった時に、壊した張本人の上司が「前で来ていたのにやらないなんて。あいつはやる気がない。会社が大変な中でさぼっていてあいつは最低だ」という扱いをすると、再起不能になります。 まずは「出来ていたこと」を思い出させ、それを承認し、改めて次のステップに進ませることが再生への道です。 そうすると・・・そう、以前出来ていたこと=その人の最高パフォーマンスを出していた時のステップが本人のステップになります。 つまり、一度でもなにがしかの場面で高い順位にいたものは、ポテンシャル・才能がある人、ということです。 その才能を見つけ出し、再生させるのが育成の醍醐味となります。

あらためて 努力→成果→評価→対価のステップを理解し、「同じステップに留まっていることのストレス」を理解し、次のステップへと導く育成を心掛けましょう

第2回のコラム、いかがでしたでしょうか? 今後も不定期に更新をしていきたいと思います。 感想やご意見はこちらのフォーム若しくはtwitterまで。
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中小企業診断士 東秀樹(平成16年登録。)